経営指針物語 9
"第9話 戦略を組む=付加価値
三枚1,000円のパンツ"
横木 正幸
企業目的を達成するためには、事業目的を達成しなければならないことは解った。次は、事業目的を達成するための「経営方針」を考えなければならない。それを「戦略」というのだそうだ。
今までも本屋で戦略の本を買って読んだことはあるが、理解をした事は一度もなかった。しかし、利益を出すための方法であるということであれば、理解しないわけにはいかない。
そのためにはまず現状の仕事を伸ばす方法はないかということである。それには、付加価値をつけるということが一番の近道であるとのこと。では付加価値とは何だ。「付加価値=おまけの心」であるという。同じ商品に何かのおまけをプラスするということであるという。廻りにそういった商品はないかと考えてみた。なかなか思いつかない…じっと考えた。
さうだ!あったぞ!下着がそうだ。お父さんのはいているパンツは三枚1,000円なのに、子供のはいているパンツは一枚何千円もしている。どうしてなんだ?ウルトラマン等のキャラクターが入っているだけで値段は何倍も違っている。女性の下着だってそうだ。刺繍が入っていたり、レースがついていたりして、お父さんのパンツとは比べ物にならない値段がついている。そうか、こういうことを付加価値というのか。
どうも我が社は三枚1,000円のパンツを作ることに全力を上げていたようだ。毎日忙しいのに儲からない。我が社の製品には付加価値が足りないのだと気がついた。
しかも、一枚何千円もするパンツでも一生使用できるわけではない。商品寿命というものがある。消耗品である。必ず繰り返し=リピート性がある。隣の子供がいい服を着ていれば、次に買う時はうちの子供にもいい服を着せてやりたいと親は思う。高価な商品にリピート性を持たせることだ。パンツをはかないでいるわけにはいかないから、三枚1,000円のパンツでも十分に間に合っている。三枚1,000円のパンツは「必要品」なのだ。しかし、一枚何千円もするパンツは買い手の欲を誘う。うちの子供には誰にも負けないものを身に着けさせているんだ。誰に見せるものではないが、私の身に着けているものはみんなと違うのだ。と「必要品」が「必欲品」に化けてしまう。これが付加価値なんだと解ってきた。
では、我が社の商品にどういう付加価値をつければいいのだ?三枚1,000円のパンツを作り続けても利益は出てこないとうことは解った。
しかも、なおかつ差別化を図ることが大切だという。他社のやらない事をやる必要がある。同じ事をしていたのでは利益にならない。それは当然だ。しかし、二匹目のドジョウはいるのではないか?真似も徹すれば本物を追い抜くという…
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