経営指針物語 12

"第12話 四つのじんざい"

横木 正幸

 

 しかし、人を育てるにしても大体うちの社員のレベルはどの辺にあるんだろう?図のように縦軸にヤル気、横軸に能力を取ってみた。そうすると、四つの「じんざい」がある。ヤル気もあり、能力もある社員。こういう社員を「人財」というのだそうだ。こういう社員だけなら間違いなく会社は継続・発展をすることが出来るのだが。  
    
 しかし、そうはいかない。ヤル気は充分にあるのだが、能力がいまいちという社員もいる。例えば新入社員が典型的な例だ。さぁ今日から社会人として頑張るゾ。少しでも早く仕事を覚えるゾ。とヤル気は誰にも負けない。しかし、仕事はこれから覚えるのだから、仕事の能力は不足している。こういう人を「人材」というとのこと。
 三番目の「じんざい」は「人在」。存在しているだけの人。これは案外ベテラン社員に多い。ヤル気を出してくれればいい仕事をするのだが、なかなか本気になってくれない社員。困ったものだ。
 そして四番目が「人罪」。ヤル気もなければ能力もない。こういう社員はそんなにいるはずもないから、そんなに心配することもないだろう。
 とりあえず、「人材」を「人財」育てるためにはなにをすればいいのか。これは簡単である。仕事を一つずつ教えていけばいい。
“リーダーシップの理論には部下をホッとさせる能力が必要である。これは、部下が息を「吸う」か「吐く」かで区別する。息を吸うのは上司が部下を服従させようとした時、吐くのは部下から上司に対して自ら従うときである。”
「やって見せて、やらせて見せて、誉めて」やればいい。
 次は、「人在」を「人財」にすることだ。これはなかなかやっかいだ。どうやったらヤル気を出させることが出来るのか?給料で釣れば給料で辞めていく。誉めれば舞い上がる。注意をすれば落ち込む。
 四番目は、なおさら悪い。ヤル気もなければ能力もない。これは採用したほうに罪がある。だから「人罪」なのだと諦めるしかないのだろうか。
 
ヤル気集団を作る五項目があるという。
  
@情報を共有する
  A夢を共有する
  B結果を共有する
  C感動を共有する
  D分配を共有する

 ということは、まず経営者が「その気」にならなければならないということだ。この五項目が社員教育の原点だという。


続く



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